アートオークションとは①

アート、そしてオークションとの出会い

 

アートが身近になれば、暮らしはもっと楽しくなる、という内容で、アートと社会を繋いでいる方々について、私、オークショニアの柴山哲治が様々な角度からご案内していく番組、"Power of Art"が始まりました。

 

アートというと、美術館でしか見られないものと思っている人もいるのではと思いますが、一人一人の皆さんの生活にアートを取り入れれば、もっと楽しいものになるのではないかと思っています。

 

 

今回は、私のアートとの出会いについて、お話ししたいと思います。

私は大学を卒業した後、日本の総合商社に勤めていましたが、実は、その間10年くらいは全くアートというものに興味がなかったんです。

その後、転職してニューヨークに渡り、金融の仕事をしていたのですが、そこのオフィスは、至るところにアートが飾ってある会社でした。その中で、毎日必死になって働いていたわけですが、エレベーターホールからカフェテリア、自分のオフィスも含めてアートが飾ってあるということに、何年か働いてから気が付きました。

職場にアートがあったことで、これは、アートがあったほうがないよりはいいんだな、と思い始めたことが、アートと出会ったきっかけになります。

 

その後、たまたまサザビーズというオークション会社に転職することになりました。

そこでは、アーティストの方々と買う方々をつなげ、業としてオークションを仕事とするようになり、その中で、オークショニアも担うようになりました。

 

オークショニアとは、日本語で言えば競売人だと思います。

様々なアート作品が、オークションで販売される場面で、競売を司る役割がオークショニアですね。オークションの全体を仕切る仕事です。

 

オークションとは競売になりますから、オークショニアがスタート価格を言って、最後の一人になるまで競い合って、そしてカーンっとハンマーを鳴らせて、落札となります。

例えていうなら、オークショニアとは、楽譜のないオーケストラの指揮者のようなものだと思います。最高で500人くらいのオークションっていうこともありますからね。

 

世界的に有名な作品から、無名の作家でも一生懸命作られた作品など、それらの思いが込められた作品を売り買いするというオークション。それを司るオークショニアとは、非常に大きな役割を担う仕事ではありますが、次に何が起こるかわからないというワクワク感を、アーティストと入札者の皆さんとの間で盛り上げていく、ということは、何度経験しても楽しいものです。

 

 

次回は、オークションの本場・イギリスのオークションの歴史についてお話ししたいと思います。