アートオークションの歴史④

オークションの舞台裏

先週は、実は日本でも、競りという形で身近にオークションが行われていることをお話ししました。

今回は、アートオークションの舞台裏についてお話ししたいと思います。



オークション、その成功の秘訣とは!?

 
先週まではオークションの歴史と今についてお話ししてきましたが、実際アートオークションを運営するにあたっては、どんな事が重要になってくるでしょうか。

そのことを今回はお伝えしたいと思います。

 

 

アートオークションの場合は、まず何よりも、良い作品を見つけるということが第一に重要となってきます。

 

アートオークションというと、2つの種類があります。

一つは、古典的作品を扱うオークションです。例えば、ゴッホの作品などがここに当てはまります。こういったオークションはよく知られているかと思います。

 

もう一つの種類は、あまり知られていないかと思いますが、若手作家の出来立てほやほやの作品を売るオークションです。

 

どちらの場合でも、まず良い作品を見つけてきて、それらをオークションという場を作って販売するという手順になります。

なので、オークショニアは、単に競りで売るだけでなく、良い作品を見つけるということもしなければなりません。

若手作家の作品を見つける場合は、私自身が、直接美大を訪ねて、若手作家を発掘に行くこともよくあります。

 

 

もう一つ重要なことは、買って下さる方を見つけるということです。

 

集めた良い作品を、今後はオークションという機能、あるいは手段で売るわけですので、当然ですが、買ってくださる方を見つけなければなりませんね。そういう方々に積極的にオークションに参加していただく必要があります。

 

このオークションという機能は、特に最近(近代)になってできたことです。
昔、それこそ明治維新の前くらいまでは、アート作品を集めて楽しむという人は公家や武家に限られていましたし、明治維新後は財閥と言われる人々が行っていました。

こうした公家や武家など力のある人々は、アーティストと言われる職業の方々を、自身のお抱え絵師という形で召し抱え、作品を作らせていたわけです。

 

こうした構造が近代、特に戦後になって変わります。

戦後、自由経済主義が進むことにより、社会に支配階級がなくなったことで、一般の方々が作品を集めて楽しむということになりました。

 

昔のように、絵師を抱える武家や公家がいない現代であるからこそ、作品を買ってくださる一般の方々を見つけることが、とても重要になっています。

 

一般の市民の方々でも買えるような値段で、有望なアーティストの作品売買を行うオークションがより積極的に実施されていけば、オークションの浸透とともに、アート自体の社会への浸透も進むのではないかと思います。

 

 

次週、5月からはPower of Artでは、群馬県前橋市出身の新進気鋭アーティスト・藤原泰佑さんをゲストにお迎えします。
5月のPower of Artも、お楽しみに!!