群馬でアートオークション!?③

文化財は保護から、利用と活用へ?

 

 

 

沢辺:先週、文化財を活用したオークションというお話を伺いました。

日本の文化財といえば、先の国会で、文化財保護法の改正案が国会に提出されたと思うのですが、

ちょっと難しいように思うのですが、具体的にはどのような変更がなされたのかお教えいただけますか?

 

 

柴山:僕自身の理解は次のようなものです。

日本が誇る文化財を、今までの政策の中心であった保護という概念から、

むしろ利用や活用へ、という大転換を図る、という点が一つだと思います。 

 

 

沢辺:なるほど。

 

 

柴山:もう一つの点が、文化財の管理についてです。

これについて、地方自治体により権限付与する。この主に2点であると理解しています。

 

 

沢辺:やはり、東京オリンピックに向けて、ということなんでしょうか?

 

 

柴山: そうですね。

オリンピックやパラリンピックというものは、スポーツの祭典というだけにとどまらず文化のイベント(祭典)でもあります。

日本には、「文化GDP」という言葉が最近ありますが、東京オリンピックにむけて、これを増やしていこうという国家目標があるんですね。

 

 

沢辺:「文化GDP」ですか?

 

 

柴山:はい。

アートや文化などの力を利用して、観光などの産業を構築する、それによっての歳入を文化GDPという概念で表してるんですね。

 

 

沢辺:そうなんですね。

確かに、2012年に行われたロンドンのオリンピックでは、ロンドン中で、様々な文化イベントがあったと伺ったことがあります。

 

 

柴山:そうですね。

イギリスという国は、完全に、文化によって国力を上げ、それを GDP、すなわち経済活動に直接的に結びつけていくという政策ですね。

 

 

沢辺:なるほど。

そうすると、日本も、イリギスのそうした姿勢から学んでいる、ということなのでしょうか?

 

 

柴山:そうですね。

そうした社会背景がある中ですので、ぜひ群馬でもこうした「文化財保護法」の法案改正を機会として、文化イベントが出来たらと思っています。

 

 

沢辺:そうですね。

 

 

柴山:イギリスでは、オリンピック以後も、

世界遺産を活用したアートプロジェクトが積極的に行われています。

例えばウエストミンスター宮殿などでも、現代アートのインスタレーションなどが行われているそうです。

 

 

沢辺:世界遺産でですか?

 

 

柴山:はい、そうなんです。

例えば世界遺産のウエストミンスター宮殿では、アーティストのJorge Otero-Pailosが、2016年に幅50メートルにも及ぶ巨大なアート作品を展示しました。

 

 

引用:http://www.ianthearchitect.org/the-ethics-of-dust-jorge-otero-pailos-at-westminster-hall-london/

 

 

この作品は、”The Ethics of Dust”というタイトルなのですが、 これはウエストミンスター宮殿の壁をラテックスでかたどったもので、作品の中には、長年の中で壁に蓄積した埃やススが映しとられています。

宮殿の歴史を表すとともに、アート制作を通じてすすや埃を取り除くという意味で、メンテナンスの意味も持つというプロジェクトです。

 

※The Ethics of Dustプロジェクトの詳細の記事は、こちらをご参照ください。

(The Guardian の英語外部サイトに飛びます。)

 

 

 

その他にも、2014年には、世界遺産のロンドン塔では、第一次世界大戦にイギリスが関わってからの100年を記念するアートプロジェクトが、アーティストのPaul CumminsとTom Piperによって行われています。

 

プロジェクトは、Blood Swept Lands and Seas of Redと名付けられています。 

ここでは、888,246個の陶器で作られた赤いポピーが、ロンドン塔のお堀を埋め尽くしました。この赤いポピーは、第一次世界対戦中に命を落としたイギリス兵の命を表現したそうです。

 

※The Ethics of Dustの詳細の記事は、ロンドン塔のHPをご参照ください。
(英語外部サイトに飛びます。)

 

 

一方、こうした世界遺産をアートで活用するということについて、群馬で考えてみると、群馬には富岡製糸場があります。

もちろん、他にも色々と可能性があると思うのですが、一番わかりやすく素晴らしい場所として富岡製糸場があると思います。

なので、そこの施設を利用して、群馬を芸術産業で経済活動でも盛り上げる、ということが出来たらと思います。

 

 

沢辺:確かに、そうした可能性がありえますね。

日本ですと、 文化財というと、どちらかというと傷つけないように、しっかり保護しなければならない、というイメージでしたが、

活用になったという国の政策は、そうした文化財の利用において、大きなサポートになりそうですね。

 

 

柴山:そうですね。

ぜひ、それを具体的な事例として、京都や金沢に加えて、是非群馬でも実現させたいと思っております。

 

 

沢辺:はい。楽しみにしています。

 

 Power of Art、来週もお楽しみに!