アートが街をブランドにする。
柴山:今週は地域のブランディングにおける芸術の役割について、
「丸ノ内」という事例を通して考えてみたいと思います。
沢辺:「丸ノ内」 ですか!?
すでに、大変おしゃれな場所というイメージがありますが・・・
柴山:丸ノ内は、街をブランド化する、ということで、
芸術・文化を含めたまちづくりをしています。
その中心に位置付けられているのが、三菱一号館美術館です。
沢辺:三菱一号館美術館ですか?
柴山: そうです。
この三菱一号館美術館の建物は、もともと丸ノ内に、明治期に存在していた建造物を、同じように建て直して美術館としています。
この建築は、明治期にジョサイア・コンドルという人が美術館構想を持ちながら設計したのですが、かつてはオフィスとして使われていました。
いろいろな歴史がある建物なのですが、当初の目的であった美術館としようという理念が改めて掲げられ、
丸ノ内のビジネス街の方々や行政も含めて連携しあい、丸ノ内のまちづくりの中心として、三菱一号館美術館が再興されることになりました。
沢辺:そうだったんですか。
柴山:はい、そうなんです。
そして、この美術館が一つの起爆剤となり、その後、丸ノ内には様々なブランドショップや、有名なカリスマシェフのレストランなど、いろんなものが出来てきたわけなんです。
昔はただのオフィス街というイメージでしたが、現在は、土日も含めていつでも賑わっています。
芸術・アートの施設が、街のブランディングにおいてとても重要な役割を果たしているということにおいて、丸ノ内は一番いい事例ではないかと思います。
沢辺:そうなのですね。
柴山:はい。
また、私自身が、丸ノ内にオークショニアとして関わっている事例が2つありますので、ご紹介させていただきます。
沢辺:どのようなことをされているのでしょうか?
柴山:1つは「藝大アーツin丸ノ内」というプロジェクトです。
三菱一号館のとなりのとなりにあるビルで、丸ビルというものがあります。
そこで、東京芸大が、音楽とアートのワークショップや展覧会を2週間ほどやっています。
それでこの期間に、芸大生が作ったアート作品をオークションで販売するということをしています。
沢辺:なるほど。
柴山:もう一つの事例はですね、年に4回やっているのですが、
三菱商事アート・ゲート・プログラムというものです。
このプログラムでは、無名の若手アーティストの作品を多量に買い取って、まさに丸ノ内(三菱商事ビル)で一定期間展示をし、その後、オークションで販売します。
オークションでの売り上げは、その翌年、アーティストを志す若手美大生への奨学金となります。
沢辺:若手アーティストにはありがたいプログラムですね!
柴山:はい、そう思います。
丸ノ内では、アートに関係するイベントが常に色々と行われています。
このことが、丸ノ内のブランディング、経済の活性化に寄与しているということだと思います。
アートを取り入れた企業や街というものは、経済・ビジネスも発展する、そうしたことの非常に良い例が、まさに、丸ノ内の事例なのだと思います。
沢辺:ありがとうございました。
来週はどのようなお話になりますか?
柴山: 来週はですね、金沢を事例にしながら、
アートを通じた地域ブランディングについて考えたいと思います。
沢辺:Power of Art、来週もお楽しみに!