大自然の中で、アートと地域産業を学ぶ。
柴山:はい。
本日は、前回に引き続き、私が関わっている北海道・大樹町でのアートを通じた地域活性化についての事例をお話ししたいと思います。
沢辺:よろしくお願いします。
前回、柴山さんから北海道大樹町での酪農アーティストについての取り組みについて、お伺いさせていただきました。
酪農をやりながら、アート制作をするという方々ですが、こうした大樹町でアート活動をしながら、地域の産業に関わるということに関心をもったアーティストは、一体どのようにアプローチしたらよろしいのでしょうか?
柴山:はい。
実は、このプロジェクトに携わり初めて、今年で3年目になりますが、昨年から大樹町で、「芸農スクール」と名付けたプロジェクトを行っています。
8月末から9月初旬にかけて、約1週間程度ですが、大樹町でアート制作をすることに関心がある人たちを対象に行っています。
スクールということで、学校なわけですが、ここではどんなことを学べるかと言いますと、例えば著作権に関する法律や、アート作品の値段はどのように決めたらいいのか、などのレクチャーを、実際にそうした仕事に携わっている方々から学ぶことができます。
著作権については弁護士の方、値段のつけ方はアートのネット販売をしている会社社長などです。
沢辺:なるほど。
柴山: はい。
それと同時に、せっかく大樹町へ来るわけですから、大樹町の魅力についても体験してもらいます。
地域のことを町の方にご案内していただいたり、また、実際にこれまでのプロジェクトを通じて、大樹町に移住したアーティストもいますので、そうした方々からのお話も伺います。
沢辺:そうなんですか。
柴山:はい。
そうした移住した方々に、アーティストとして大樹町で暮らすことは、どんな様子かなども直接お話を聞くことが出来ます。
沢辺:なるほど。
柴山:そして何よりも、大樹町での就業体験をしていただきます。
酪農業や農業、観光業などですね。
沢辺:充実したプログラムですね。
柴山:はい。今、大樹町は人口5000人なんですが、10年前は倍の1万人いたんです。
つまり、ここ10年で人口が半減してしまっているわけなんです。
これは町の存続に直結する重要な問題になっています。
沢辺:確かに、そうですね。
柴山:はい。
町自体がどうしたらいいかという中で、大樹町に来てもらえる若者に、アート制作という機会を提供するという仕組みです。
もちろん、私たちも、展覧会を開くなど、継続的にアーティストたちのキャリア支援をしています。
沢辺:なるほど。
柴山:アーティストは、アート制作が自由にできる代わりに、
酪農や農業などの地域の仕事にも携わっていくというWin&Winの関係で、プロジェクトが継続しています。
こうした取り組みを通じて、アーティストには、稼ぐために筆を折るのではなく、生活費をまかないつつプロのアーティストになる道を模索してもらう、そうした機会を提供したいと考えています。
沢辺:はい。
日本全体にとって重要な過疎高齢化という問題に、積極的にコミットメントしながら、魅力的なプロジェクトに参加できるという側面があるわけですね。
柴山:はい。
農業などの地域の地場産業に従事してお金を稼ぎながら、すばらしい土地でアートを作りながら生きるということで、興味がある方は、ぜひ、そうした道を選んでいただけたらと思います。
沢辺:はい。
柴山:ご興味のあられる方は、8月末から9月にかけて
この芸農スクールを大樹町にて開催しますので、Power of Artの番組HPのお問い合わせホームより、ご連絡ください。
ご連絡くださった方には、こちらからも別途、ご連絡を申し上げます。
沢辺:ありがとうございました。
Power of Art、来週もお楽しみに!