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アートと地域活性化②

大自然の中で、アートと地域産業を学ぶ。

 

 

 

柴山:はい。

本日は、前回に引き続き、私が関わっている北海道・大樹町でのアートを通じた地域活性化についての事例をお話ししたいと思います。

 

 

沢辺:よろしくお願いします。

前回、柴山さんから北海道大樹町での酪農アーティストについての取り組みについて、お伺いさせていただきました。

酪農をやりながら、アート制作をするという方々ですが、こうした大樹町でアート活動をしながら、地域の産業に関わるということに関心をもったアーティストは、一体どのようにアプローチしたらよろしいのでしょうか?

 

 

柴山:はい。

実は、このプロジェクトに携わり初めて、今年で3年目になりますが、昨年から大樹町で、「芸農スクール」と名付けたプロジェクトを行っています。

 

8月末から9月初旬にかけて、約1週間程度ですが、大樹町でアート制作をすることに関心がある人たちを対象に行っています。

スクールということで、学校なわけですが、ここではどんなことを学べるかと言いますと、例えば著作権に関する法律や、アート作品の値段はどのように決めたらいいのか、などのレクチャーを、実際にそうした仕事に携わっている方々から学ぶことができます。

著作権については弁護士の方、値段のつけ方はアートのネット販売をしている会社社長などです。

 

 

沢辺:なるほど。

 

 

柴山: はい。

それと同時に、せっかく大樹町へ来るわけですから、大樹町の魅力についても体験してもらいます。

地域のことを町の方にご案内していただいたり、また、実際にこれまでのプロジェクトを通じて、大樹町に移住したアーティストもいますので、そうした方々からのお話も伺います。

 

 

沢辺:そうなんですか。

 

 

柴山:はい。

そうした移住した方々に、アーティストとして大樹町で暮らすことは、どんな様子かなども直接お話を聞くことが出来ます。

 

 

沢辺:なるほど。

 

 

柴山:そして何よりも、大樹町での就業体験をしていただきます。

酪農業や農業、観光業などですね。

 

 

沢辺:充実したプログラムですね。

 

 

柴山:はい。今、大樹町は人口5000人なんですが、10年前は倍の1万人いたんです。

つまり、ここ10年で人口が半減してしまっているわけなんです。

これは町の存続に直結する重要な問題になっています。

 

 

沢辺:確かに、そうですね。

  

 

柴山:はい。

町自体がどうしたらいいかという中で、大樹町に来てもらえる若者に、アート制作という機会を提供するという仕組みです。

もちろん、私たちも、展覧会を開くなど、継続的にアーティストたちのキャリア支援をしています。

 

 

沢辺:なるほど。

 

 

柴山:アーティストは、アート制作が自由にできる代わりに、

酪農や農業などの地域の仕事にも携わっていくというWin&Winの関係で、プロジェクトが継続しています。

こうした取り組みを通じて、アーティストには、稼ぐために筆を折るのではなく、生活費をまかないつつプロのアーティストになる道を模索してもらう、そうした機会を提供したいと考えています。

 

 

沢辺:はい。

日本全体にとって重要な過疎高齢化という問題に、積極的にコミットメントしながら、魅力的なプロジェクトに参加できるという側面があるわけですね。

 

 

柴山:はい。

農業などの地域の地場産業に従事してお金を稼ぎながら、すばらしい土地でアートを作りながら生きるということで、興味がある方は、ぜひ、そうした道を選んでいただけたらと思います。

 

 

沢辺:はい。 

 

 

柴山:ご興味のあられる方は、8月末から9月にかけて

この芸農スクールを大樹町にて開催しますので、Power of Artの番組HPのお問い合わせホームより、ご連絡ください。

ご連絡くださった方には、こちらからも別途、ご連絡を申し上げます。

 

 

沢辺:ありがとうございました。

 

Power of Art、来週もお楽しみに!