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アートとパトロン①

支援者がいてこそアートが歴史になる。

 

 

 

柴山:今週からは、新しいテーマでお話します。

アーティストが制作しつづけながら生計を立てていく上で欠かせない存在である、「パトロン」、すなわちアートにお金を出す人についてお話をしていきたいと思います。

 

 

沢辺: パトロン、ですか。

今もご説明もいただきましたが、パトロンについてもう少し具体的にご説明してもらえますか?

 

 

柴山:はい。

アーティストは、アート作品を作ることが専門です。ただ、作るというだけでは、アートは何百年も何千年も後世にしっかり受け継がれることはありません。

作ることに対してお金を出す人達、そうすることを通じて、作られた作品を後世に繋いでいく人達、それを、一般的に「パトロン」と呼んでいます。

 

 

沢辺:なるほど。

 

 

柴山: パトロンという言葉は、もともとラテン語のパトロヌスからきています。

その意味することは、”パパ”つまり、お父さん、保護者ということですね。

 

 

沢辺:はい。

そうしますと、世界に名を馳せているようなアーティストには、必ずパトロンが存在している、ということなのでしょうか?

 

 

柴山:そうですね。

よほど家が大金持ちではない限り、自分でお金を出して、自分で勝手に作品を作ってという方は、あまり多くはいません。

例えば、フィレンツエという町がイタリアにありますね。日本人にも観光地として大人気の場所です。

 

 

沢辺:はい。

 

 

柴山:フィレンツエは、14世紀頃にルネッサンスという芸術運動の中心地でもありました。

この芸術運動には、メディチ家の存在がありました。今フィレンツエには、ウフィッツイ美術館というのがあり、そこで数々のルネサンス期に活躍したアーティストの作品が飾られていますが、このウフィッツイというのは、もともとメディチ家の”オフィス”という言葉からきています。

歴史的に有名な人であれば、レオナルドダ・ヴィンチであったり、ミケランジェロというアーティストがルネサンス期に活躍した芸術家ですが、こうした人達の保護者、支援者、つまりパトロンであったのがメディチ家でした。

 

 

沢辺:なるほど。

 

 

柴山:メディチ家という名の由来は、メディカルの”メディ”にあります。

つまり、もともとは薬や医療から財をなした一家です。そして、フィレンツエ近辺で、銀行業を始め、それで大金持ちになりました。

そしてメディチ家は、自らの権威を表すために、数々の芸術作品をアーティストに作らせ、ある意味で芸術を利用したわけです。

 

 

沢辺:なるほど。

フィレンツエがあれだけ芸術の町として今も名を馳せているのは、やはり、大富豪のメディチ家があってこそということですね。

 

 

柴山:はい。

自分たち自身もアートで楽しみつつ、そうした作品を後世に残していく、そしてそれを通じて自らの権威を世界に示していくために芸術を使ったいい例ではないかと思います。

 

 

沢辺:はい、ありがとうございました。

 さて、来週はどのようなお話になりますか?

 

 

柴山:来週は、日本の歴史においてのパトロンの存在について、お話したいと思います。

 

 

沢辺:Power of  Art、来週もお楽しみに!