日本文化を作った足利将軍
柴山:本日も、先週に引き続き「パトロン」、すなわちアートにお金を出す人についてお話をしたいと思います。
本日は日本の歴史を通じて考えてみたいと思います。
沢辺: はい。
先週、柴山さんのお話で、ミケランジェロなどが活躍したルネサンスの芸術運動の背景には、メディチ家という金融業で財をなした大パトロンがいた、それが故にミケランジェロたちはあれほど有名な作家になったと伺いました。
逆に日本の歴史ではどうだったのでしょうか?
柴山:はい。
日本も、ほぼ同時期、中世だと思いますが、この時代に前後して素晴らしいその時々の「現代アート」を作り上げることに助力したパトロンの方々がいます。
沢辺:そうなんですね。
私たちの日本文化のイメージと言いますと、お茶とか、生花とか、またお能とか、「わび・さび」という風にもよく言われますが、そういった日本文化にも、ある種のパトロンがいたということなのでしょうか?
柴山: そうです。
京都の東山地区の名前からとった、「東山文化」が顕著ではないでしょうか。今でいうと、茶道やお能、生花、こういったものに東山文化が受け継がれています。お茶やお花、お能にも、それらに付随した道具や絵画などがありますが、それらの文化のルーツを作り上げたのが、足利家といわれています。
沢辺:足利将軍ですか?
柴山:はい、そうです。
足利義政ですね。義政というと、文化の創業者というイメージがある方もいらっしゃると思います。
足利義政は、応仁の乱を引き起こした人物でもありますが、東山文化という今にも伝わる文化の基礎を作り上げた人物でもあります。
東山には今の銀閣寺がありますが、この場所で、水墨画や茶の湯などに携わる文化人を庇護しました。
沢辺:なるどほ。
時の権力を持っていた人たちの嗜好性によって、文化芸術というものが型どられていく、ということですね。
柴山:そうですね。
日本がかつて、公家が中心の政治であったのが、武家中心の政治になって、そのとき武家であった足利家が、芸術文化というものを様々な理由で権力の誇示に使ったと。そういうことだと思います。
沢辺:なるほど。
柴山:はい。
武家の統治が強くなると、文化も武家が中心になって支える人々になります。
こうした東山文化という日本文化の基礎を作り上げた足利家なわけですが、実は、もともとの足利家の源流は、北関東にある足利市でもあったという説がありますね。
沢辺:栃木県の足利市ですね!
柴山:そうです。
足利市と足利家は深く繋がっているということですので、例えば茶道、私自身もお稽古をしておりますが、こうしたものの源流を作った人たちは、この周辺地域から出ている!?ということです。
みなさんぜひ、プライドを持たれるところではないかと思います。
沢辺:そうですね。ありがとうございました。
さて、来週はどのようなお話になりますか?
柴山:はい。
来週は、歴史の話から、今度は近現代のお話をしたいと思います。
沢辺:Power of Art、来週もお楽しみに!